学会で発表賞を取る確率をあげるための5つのポイント
はじめに
学会は研究成果を発表する場であり、多くの研究者に自分の研究をアピールすることのできる絶好の機会である。最近では、若手に多くのチャンスを与えるという名目で、優れた発表に対して学会発表賞を与える学会も多くなっている。発表賞を取得することができれば、学振の申請書や履歴書にも記載することができるので、積極的に狙っていきたい。もちろん、普段からよい研究を行うことも大事ではあるが、大きな研究予算の獲得、就職活動の際の面接等においてはよい発表を行う技術も大切である。
筆者自身は学生時代に6回口頭発表賞に応募し、5件の発表賞を受賞してきた。勝率でいうと80%程度の確率である。他にも修士の卒業研究発表賞やその他学会のポスター賞も受賞したことがあるため、学会発表にはそこそこの自信がある。ここでは筆者が口頭発表の際に気をつけていた5つのポイントに関してお話ししたい。
前提として:一般的な良いプレゼンテーション
一般的な前提として、プレゼンテーション資料がよくまとまっていることは必須である。良い資料の作り方としては、適当に1、2冊デザインに関する本を買ってみて読めばよい。 例えば筆者は次の本を参考にしている。
但し、TED talkやAppleのイベントのように洗練され過ぎたような資料では、審査員(おそらくは日本人の年配の研究者)には受けが悪い場合もあるので、やりすぎないように注意は必要であろう(国際学会でも自然科学基礎分野に限っては多少ごちゃごちゃした、データをある程度載せた資料の方が好まれやすい印象はある)。
以上を踏まえた上で、学会発表賞を取得する確率をあげるための具体的なポイントについて解説する。
学会発表賞の具体的なポイント
1. 審査基準を知り、それを満たすことを意識する
学振の申請書を書くのと同じで、まずは審査基準を知ることが第一歩である。発表賞は他人との相対評価によって審査されることがほとんどで、なんとなくいい発表を目指すのと審査基準を的確に抑えた発表とでは、評価に大きな差が出てくるであろう。
とはいえ、学会発表賞の審査基準が公開されていない学会も多数あると思う。しかし、どの学会でも似たような審査基準になることが多いので、基準が公開されているような学会を参考にすれば良い。例えば
- 研究の目的が明確であるか
- 研究を遂行するための方法は具体的に示されているか
- 研究内容は優れているか
- 質疑応答が的確に行えていたか
等が審査基準になる。基本的には研究計画書や論文の審査基準と似ている。他にも、発表賞は若手を対象に審査が行われるケースがほとんどであるので、発表者に将来性を感じるかどうかも評価対象になる可能性がある。それらの基準を意識した資料を作ることが、良い評価を得ることの第一歩である。
2. 他人がまとめやすい要旨を作成する
学会にもよると思うが、審査員は応募者の発表の要約あるいは高評価の理由を作成しなければいけないケースがある。その際、学会要旨をほとんどそのままコピーアンドペーストできるような要旨を作成しておけば、審査員も手間を感じずに受賞理由を作成することができるため、よい印象を与えることができるだろう。 噂レベルはあるが、事前選考があるようなものでは、自分が筆頭著者の論文あるいは高いIFの論文を引用していた方が有利になる場合があるらしい。
3. これから何をしたいのかを常に明確にする
学者というのは自分の頭で考え理解したがる性質を持っている人が多い。そういった人たちを満足させることができれば、よい発表という印象を与えることができるだろう。そのためには、常にこれからなぜ何をしたいのかを明確にし続ける必要がある。具体的には、データをひたすら羅列するよりも、「これから〜を明らかにするために〜のデータについて議論します」と言ってからデータを見せる方が圧倒的に聞き手もわかりやすい。このように場面場面で納得できるような箇所を積み重ねると、良い発表という印象を持たれるだろう。
4. 原稿を遂行してある程度暗記する
「一流の発表はその場の雰囲気で話の内容を調整するから、原稿を覚える必要はない」という意見を聞いたことがあるが、発表賞を狙う際にはほとんど的外れであると思っている。 原稿を覚えずに「えー」や「あー」等を連発していると時間がもったいないというのは当然のことではあるが、原稿を遂行しておくことで限られた時間の中で最も効率よく相手に理解してもらえる伝え方を事前によく考えておくことができる。例えば、ロジックの展開の仕方も「A→B→C」か「B→A→C」がいいのかを検討することができる。他にも「示唆します」か「示しています」等の単語の選び方にも注意を払うことができる。
5. 質問を誘う
限られた発表時間の中では、自分の研究の背景、内容の全てを網羅的に話すことは大抵難しい。そういう場合でも「細かいことは省略しますが〜」等と議論を進めていき、大枠を伝える意識を持っていれば問題ない。むしろ、自分の研究をよく理解してくれている人がいるなら、その部分を質疑応答の時間に深堀ってくれるはずである。発表の中で聞かれそうな部分は予備スライドを用意し、ある程度論理を事前に整理しておくことで、うまく答えることができるだろう。そういったことを意図的に行うことができれば、質疑応答のポイントも高く評価されるに違いない。
さいごに
筆者はこれらのことを気をつけることによって、多数の学会発表賞を比較的高い勝率で受賞してきた。なんとなく良い発表を目指すのではなく、具体的にどういう部分に気をつけるのかを意識して、発表賞を獲得して欲しい。
大学院学生時代は貯金を考えずにどんどんお金を使った方が良い理由
はじめに
大学院博士過程に進学する際、お金に関する心配はつきないであろう。筆者自身は日本学術振興会特別研究員(DC)として月々20万円の収入で一人暮らしで生計を立てており、税金などを引くと実質的な手取りは15万円程度であった。それでも、生活に必要な分以外のお金は貯金に回すことなく、パソコンや趣味に全力投資した。学生時代にも貯金をしたいと考える人もいるかもしれないが、あまり意味がないと思う。その理由を筆者の実際の支出内訳を紹介しながら解説したいと思う。
筆者の学生時代の月平均の支出内訳
- 食費 3.6万円
- 住居費 4.4万円
- 光熱費 0.8万円
- 通信費 0.6万円
- 研究遂行経費 6.0万円
- 国民保険・年金 2.2万円
- 住民税・所得税 2.3万円
- 趣味・雑費 2.0万円
- 合計 21.9万円
合計支出が学振の給与20万円をオーバーしているが、超過分はティーチングアシスタントで稼いだり、学会の際に大学から支給される出張旅費は固定であったためホテル代をなるべく安いところで済ませたり、クレジットカード決済を使いまくってポイントをやりくりすることで賄っていた。あとは、祖父母や両親は大学院に通い続けることに対して肯定的でいてくれたため、実家に帰省した際などはお小遣いをもらったりもしていた。学振では学振以外からの資金援助にも制限がある場合もあるが、TAや出張旅費、個人からの贈与により取得する金品は問題ないとQ&Aにも記載されている。
これら具体的な収支内訳を考慮しながら、大学院学生時代にお金を使う理由について解説する。
お金を使う方が良い理由1. 機会損失
上記の支出の中で研究遂行経費6万円と趣味2万円分はもっと質素な生活にすれば貯蓄に回せたかもしれない。しかし、筆者はそれよりも、次のような物事にお金を使うことによって、より豊かな経験を得ることを選択した。
研究遂行経費の中でも大きな内訳を占めているのは、iMacやMacbookPro、iPad及び教科書であった。安いWindowsパソコンを使ったりすればもう少し切り詰められたかもしれないが、それよりも身の回りのデバイスをApple製品で固めることで、ファイルの同期を効率的に行うことのアドバンテージの方が大きく感じていた。そうすることによって論文を読んだり、自宅や研究室問わずに資料の作成を行えるようになり、ストレスなく研究活動を行うことができた。
また、筆者は大学院生時代にも音楽活動を行なっており、週末は練習に出かけたり、仲間と遊びに行ったりすることも多々あった。こういった活動には当然お金が必要だったが、研究の息抜きには非常に良かった。
このように、貯金に回せたかもしれない分のお金を全力で使うことによって、三年間の学生時代を充実したものにすることができた。
お金を使う方が良い理由2. 卒業後の給与
学振DCの給与は20万円であるが、産官学いずれに進むにせよ卒業後にはほとんど1.5倍以上の給与になると思う。例えばポスドクになると、学振PDでは月収36.2万円で、学生の約1.8倍である。学生時代と同一水準の生活をしていれば、月々10数万円のお金が余ることになる。学生時代に3年間頑張って貯金をして100万円貯めるよりも、ポスドク時代に1年間で100万円貯める方が圧倒的に楽である。同じ100万円でも学生時代とポスドク時代ではその価値は全く異なる。1年を争ってでも結婚式をあげたい等、早急にお金を貯めたい具体的な理由がないのであれば、学生時代にお金を貯めるのは馬鹿らしく感じるだろう。
さいごに〜筆者の現在〜
筆者は現在アメリカでポスドクとして活動しているが、月収は物価が高いこともあって学振時代の2.5倍程度である。アメリカの中でも物価の高い地域に住んでいるので家賃は3倍くらいになり、食費も多少かかるが、それ以外の生活水準はそこまで変わっていないので、月々10~20万円程度お金が貯まっていく。学生時代に貯金をしていなかったことは全く後悔していない。困ったこととしては、強いていえば、海外転出の際に費用を立て替えるのに苦労したくらいである。
学生時代に節約に節約を重ねて無理に貯金を行って、自分のやりたいことにお金を使えないのは機会損失である。貯金をするにしてもその目的をしっかりと認識して、いつまでにいくらためたいのか具体的な目標を認識するべきであろう。筆者としては、切り詰めて貯金をするような学生生活を送るよりも、少ないお金を何に使えば人生をよりよくできるかを考え、豊かなとは言えずとも有意義な学生生活を送れれば良いと考える。
鷲田清一著「哲学の使い方」感想
哲学博士号
博士号を取得するということは、研究者として活動を行うための第一歩である。しかし、博士号を取得するということの意味についてきちんと考えたことがある者が、博士号取得者にどれだけいるのであろうか。筆者自身が博士号を取得するまでは、基本的には論文を書いてさえいれば、研究者として認められる資格のようなものがもらえるという認識であった。実際に、教員が学生を”卒業させる”ために、共同研究に参加させて共著者として加え、なんとか論文を出版させる等という話も聞いたことがある。とにかく、論文を出せば、ある分野に関してそれなりに貢献をしたとみなされ、それを評価されることで博士号がもらえるという認識の者も多いのではないだろうか。
筆者自身は博士課程で研究を遂行する上で、上記の認識は少しずつ変化していったのではあるが、卒業間近に博士号を取得するということについて非常に的を射た文に出会った。
この教養教育論はそのまま、西欧近代科学における《博士号》(PhDとは「哲学博士号」の謂いである)の意義に通じる。博士号は、ふつうそう考えられているように、限られたある専門分野において精緻な研究をなしとげたことに対して授与されるものではない。それはある仮説を一定の科学研究の方法に則って推論・実証したことによって、以後いかなる主題においても同様の精緻な推論・実証ができるという、そのような技倆の認定として授与されるものである。だから専門分野以外の領域を「専門ではありませんので」と言って斥けるのは博士として失格である。博士号というのは本来、この分野に限ってなら何でも知り尽くしているということに対してではなく、いかなる未知の分野においてもそれに相応しい科学の方法を用いて確かな探究ができるという一般的能力に対して賦与される称号なのである。
鷲田 清一. 哲学の使い方
「科学の方法で探求ができる一般的能力」という部分が非常に的を得ていると筆者は感じる。これを実行するためには、自ら課題を発見する能力、実際に手や頭を使って調べる能力、そして考えをまとめアウトプットし、議論する能力等が求められる。特に課題発見能力は、どのように問いを行うかを考える研究の根幹であり、哲学にも深く関係すると思う。PhDはPhilosophiae Doctor(Doctor of Philosophy)の略であるのだから、哲学を無くして博士号を語ることは本来できないのではないのかもしれない。
エッセイ
上記の博士号に関する文だけでも、1000円分の価値はあると思い購入したが、学術研究のアウトプットの方法について考えさせられる部分があったので紹介したい。著者は鶴見俊輔氏の「アメリカ哲学」から次の文を引用し、学術論文以外での発表形式に関して言及している。
元来学術論文によって「……である」「……である」と厳しく断言する形式で哲学を発表することが哲学の唯一の発表形式と考えられるようになったのは、実は最近のことに属するので、昔からそうなのではない。プラトンの哲学は対話劇であり、<中略>、孔子は格言によって哲学を展開している。久しく学術論文の形に隠れてじめじめと個人的感慨および不平を滲出させてきた哲学は、再びこの殻を捨てて方々の領域に分散し始めようとしている。
特に著者は本の中でエッセイを紹介している。
「エセー」という語は元来、「秤」や「腕試し」といった意味で用いられたが、そこから「思考を試しにかける」そのような精神を表すようになったのである。
と述べられているように、「エッセイ」の元々の由来を振り返りつつ、
エッセイを書くという《試み》は、そういう叙述のスタイルを見つけること、ひいてはあたらしい眼をもつことにもつながる。考えるというのは言葉が思考を紡ぐということだからだ。
と評価している。
筆者自身は今のところ、自然科学分野においては学術論文は研究成果を残す上で非常に良い方法であると考えている。しかし、それがいつの時代においても最適解ではないかもしれない。いつかは時代に即したもっと効率的な方法あるいは時代を切り開く画期的な方法が出てくるのかもしれない。形体によらず物事を柔軟に見つめ、アウトプットを行う習慣を立てることで、これからも成長していきたいと思わせてくれるよい本であった。
学振の研究遂行経費を申し込むメリットと具体的な内容
日本学術振興会特別研究員(DC)は、博士課程の学生が研究に専念するために、月20万円の研究奨励金を支給する制度である。しかしながら、この20万円は給与所得として課税対象となるため、この中から所得税や住民税を納め、さらには国民健康保険や国民年金も支払う必要があり、実質的な手取りは15万円程度になる。ボーナスや家賃補助、交通費補助もない。とくに都会では家賃も高いので、一人暮らしをしているような学生であれば、ぎりぎりでやりくりすることになる人が多いのではないだろうか。
学振には研究遂行経費という制度がある。制度の内容としては、科研費以外で研究遂行に必要な出費が年間研究奨励金受給額の3割を上回ることが見込まれる場合(DCの場合年間72万円)、年度始めに申請を行うことで、その支出分を所得税・住民税の課税対象から除外することができる制度である。毎年支出内容の明細を提出する必要があるが、それを上回るメリットがあるので、迷っている人には是非申請してもらいたい。ここではそのメリットと具体的な経費の内訳を紹介する。
メリット
税金が安くなる
72万円分を所得税・住民税の課税対象から除外することができる。具体的には、所得税10%住民税10%で計算すると、年間14.4万円の節税になる。学生にとってこれは大きい。
授業料免除を受けやすくなる
多くの大学で授業料免除は申請者の年間の給与所得で判定される。普通に学振を受給して独立生計として申請すると、年間所得は240万円として判定される。筆者は国立大学に通っていたが、これだと大体授業料半額免除になる。一方で、研究遂行経費を申請すると、所得額が240-72=168万円として判定されるため、授業料全額免除の対象になる可能性が高まる。実際に筆者は博士後期課程においいて5/6は授業料全額免除であった(なぜかD2後期は授業料半額免除だった)。
具体的な支出の内訳
実際の支出内訳
以下に筆者のD2の時に提出した内訳を示す。
- 学会関係経費 2万円
- 各種研究集会等への参加費 1万円
- 学術調査に係る経費 19万円
- 自宅での研究に必要な経費 50万円
- 所属・関連機関への交通費 0万円
具体的な内容は次の通り。
学会年会費
筆者の大学では学会の年会費を科研費で支払うことができないという妙なルールが存在していたため、自費で支払う必要があった。その分を研究遂行経費として計上していた。
出張旅費
近所の大学の共同研究者との打ち合わせなどの時に、科研費で足りない分は経費として計上していた。
通信費
パソコン代
筆者の研究室ではパソコンを自分で購入する必要があったため、Macbook proを研究室用に購入したりしていた。他にもiMacを自宅研究用に購入したり、iPadを購入したりした時に経費として計上していた。
書籍代
筆者は教科書を購入することが好きであったため、購入するたびに経費に計上していた。
交通費
筆者は大学近くに住んでいたので交通費はかからなかったが、電車で通う必要がある場合、交通費を研究遂行経費に計上することができる。ただしバイク通学等の場合のガソリン代は計上できないらしい。
72万円に届かなかった場合
研究遂行経費を申請して、研究奨励費の3割を上回る支出がなかった場合、ペナルティがあるのだろうか。基本的には、研究奨励費の3割に満たない分に対して追加徴税を行う必要があるが、それ以外は特に聞いたことはない。追加徴税といっても、もともと研究遂行経費の申請をしていなかった場合よりも税金は安くなるし、授業料免除の可能性も上がるので、とりあえず申請しておくことをお勧めする。
アメリカ留学において現地でクレジットカードを作るべき3つの理由と実際におすすめのカード
はじめに
留学を始めると、現地で食料を購入したり、外食やインターネットショッピングをしたりすることも多いと思う。特にアメリカはクレジット社会で、これらの消費行動の際に大体カードが使えるし、持っておくと非常に便利である。VisaやMasterCardであれば日本で作ったクレジットカードをそのまま用いることもできるが、ここでは現地でクレジットカードを作るべき3つの理由と、筆者が利用しているおすすめのカードを紹介する。
現地でクレジットカードを作るべき3つの理由
1. ポイント還元率が高い
日本のクレジットカードといえば、基本的にはポイント還元率は高々1%である場合がほとんどであると思う。楽天カードであれば、楽天市場で利用すればポイント○倍だとか、オリコカードでモールを経由すればamazonのポイント2%であるだとかなんとか還元率を上げる方法は存在するが、割とめんどくさい。
一方アメリカのクレジットカードでは、インターネットショッピングで3%、食料品店で4%など、割と高い汎用性でお得なポイント還元率を持つカードが存在する。日本のカードを使い続けてしまった場合に比べて圧倒的に差が出るであろう。
2. 円・ドル為替手数料がかからない
日本のクレジットカードを外国で利用すると、カード会社の設定する高い為替手数料がかかる場合がある。どのように現地通貨を得るかにも依存するが、海外キャッシングを繰り上げ返済する等、できるだけ安い方法で交換する方法を用いるのであれば、現地のカードを使うことで為替手数料を回避することができる。
3. 入会特典が豊富
日本のクレジットカードでもよくあるが、アメリカのクレジットカードも入会特典で○ポイントのようなキャンペーンが存在する。それもたいてい日本のものよりもよい。例えば下記で紹介する年会費無料のBank of Americaのカードであれば$1,000使うことで$200のキャッシュバックを受けることができる。日本では年会費無料であれば大体10,000円程度であるのに対して、かなりお得であると言える。
実際におすすめのカード
1. 短期滞在の場合:Bank of America Cash Rewards Credit Card
メリット
- 年会費無料
- 口座を作れば簡単に作れる
- ネットショッピングのポイント還元率が3%
- ポイントはキャッシュで受け取ることができる
筆者が一番最初に作成したクレジットカードがこれ。学生時代に3ヶ月の留学を行った際、授業料を支払うために銀行口座を作ったが、そのときに一緒に作ることを強く勧めらた。騙されている気はしつつも申し込むと、意外と使い勝手がよかった。入会特典として、最初の90日以内に$1,000使うことで$200のキャッシュバックを受けることができる。さらに、ネットのアカウント情報から申し込むことで、ネットショッピング、ガソリンスタンド、旅行等のカテゴリーの中から1つだけポイント3%に設定することができる。年会費無料であるので、とりあえず感覚で気軽に作ることができる。
2. 長期滞在の場合:American Express Gold Card
メリット
- ポイントをANAマイルに交換できる
- スーパー・レストランでポイント4%の高還元率
- 年$120のダイニングクレジット
- Amex offerが利用できる
年会費が$250かかるが、それを覆すほどのポイント還元率を誇る優秀なカード。特にamazon whole foodsでもポイント4倍になるのは嬉しい。ポイントはANAマイルに交換できるので、帰国する時などに非常に役に立つ。また、Grubhub等で使える年$120のダイニングクレジットを使えば、実質的な年会費を抑えることができる。ゴールドとはいえ、学生でも作れるとの噂なので、銀行口座さえ作っておけば、おそらく大丈夫であろう。筆者はポスドクを始めて1ヶ月程で作成した。
時期にもよると思うが、入会特典として最初の6ヶ月以内に$4,000使うことで40,000ポイント手に入れることができるが、下記リンクから申し込むと60,000ポイント手に入る。もし、紹介リンクの方が入会特典がお得そうなら是非利用して欲しい。ANAであれば、サンフランシスコ〜東京往復の特典航空券は40,000マイル〜で購入することができるので、帰国一回分と考えるとかなり優良な特典であろう。
http://refer.amex.us/YUSUKy1U9W?XLINK=MYCP
番外編Rakuten
Rakutenと呼ばれるポイントモール的なwebサイトも存在する。ebayやapple等の有名なオンラインショップも存在し、ポイントをキャッシュバックで受け取ることができる。さらに、ポイントの受け取り先をamerican expressのポイントに指定することもできるため、これを併用することでどんどんマイルを貯めることもできる。
ネットで完結させるアメリカ留学生活を乗り切る食事事情
アメリカ留学において、飯の問題は死活問題である。高い、量が多い、謎のチップ文化等、日本文化とのギャップに苦しむ者も多いであろう。体感的には日本の1.5〜2倍程度の量と値段である。
筆者も留学したての頃は、どこで飯を食うのがいいのか非常に悩んでいた時期があるが、今はほとんどネットで完結させるようになった。ここではそのメリットと、実際にどのようなサイトを使っているかを解説したい。
レストランよりフードデリバリー
欧米のレストランではテーブルに座ると大体ウェイターがついて、その人を通して料理を注文したり、会計を支払ったりする。ウェイターをいちいち通さないといけないから、何かとめんどくさい。特に料金を払う際の手順が、以下のように非常に手間である。
ウェイターを呼ぶ→会計をお願いする→伝票をもってくる→チップ料金を記入する→ウェイターを呼ぶ→チップ料金を記入したレシートとカードを渡す→会計をしてくれる→カードを返してもらう→さようなら
長い。チップ代もかかる。初めのうちは文化を堪能するという意味でいいかもしれないが、慣れてきたり、できたてほかほかにこだわりがなければ、時間もチップも節約できるテイクアウト(To go)の方がいいだろう。
ちなみに、テイクアウトの場合にもチップはいくら払いますか?みたいな画面が出てくる店もあり、筆者は「とりあえず15%かな?」と思って払っていた時期もある。しかし、同じ研究室の学生と一緒にカフェに行った時、学生がコーヒーを注文してNo Tipを全力で連打していたのを見て以来、筆者も一切払わないようにしている。
筆者がよく使っているのはGrubhub
理由として、筆者はアメリカンエキスプレスのゴールドカードをアメリカで作成しており、Grubhubを使うと1ヶ月に一度ダイニングクレジットとして$10もらえるからである。
バーガーやピザは無難で美味いものが多いのでいろんなところからよく頼む。一食大体$12~20くらいになるように注文している。
スーパーよりネット注文
コロナ禍では一度に入店できる人数に制限がかかっており、スーパーの外には長蛇の列ができていることも多い。わざわざ並ぶくらいなら、ネットで注文した方が時間が節約できてが良い。さらに、飲み物などの重いものでも家の前まで持ってきてくれる。
筆者が毎週お世話になっているAmazon Whole Foods
Amazon Whole Foodsはその名の通り、Whole Foodsに売っているものは大体買えてしまう優れた通販サイト。Primeは必須になるが、$35以上の注文で送料が無料になる。一週間分の食料を買えば、大体$35はクリアできる。配送では無料で2時間の時間窓を指定することができる。
筆者のおすすめはステーキ肉とカット野菜。カット野菜はトリプルウォッシュ(と書いてある)ので、そのまま皿に盛り付けてドレッシングかオリーブオイルをぶっかけて食べている。ステーキ肉は、塩胡椒をふりかけてフライパンで焼いて食べる。
割と食べ応えのある肉質で、価格もそこそこお手頃。写真の分量(250g)では$8程度。
Amazonで買える日本食もよい
保存の効く食べ物は、通常のAmazonでも売っている。米や味噌汁、缶詰、カップ麺等がある。筆者のお気に入りは、蒙古タンメン中本とアマノフーズのフリーズドライ味噌汁。
割高ではあるが、日本の味を思い出すことのできる貴重な食品である。他にも一風堂のカップ麺等、有名どころは検索すれば見つけることができる場合もある。
怪しい中国系の食品ショップWeee!
近所の中国人ポスドクに「アジア系の食べ物が買えるから使ってみなよ」と勧められたサイト。
納豆やはくさい等、日本でお馴染みの食材も売っている。一度使ったが、Amazon Whole Foodsが安定で、リピートすることはなかった。
中国人ポスドクの玄関の前にはよくこのサイトから届いた箱が置いてあるので、アジア系の生物などが食べたいときにはいいのかもしれない。
アカデミック面接でよくある質問・育志賞ポスドク助教面接体験談
はじめに
日本国内のアカデミック業界において教授にたどり着くまでには、ポスドク→助教→(講師)→准教授→教授というように、基本的には職位を徐々にランクアップしていく。多くの面接を経験しなければならない割に、企業の面接マニュアル的なもののように情報が多いわけではないように思う。特に、ポスドクや助教といった比較的若手の時期には経験も少ないため、いかに事前に情報を収集しているかが結果を大きく左右する場合も多い。
筆者はこれまでに大きな面接として、育志賞の面接1回、ポスドクの面接2回、助教の面接1回を受けてきた。決して多くはないが、これら面接の内容を紹介し、それらの経験の中で共通してよく聞かれた質問事項や面接官が何を聞きたがっていると感じたかなどの印象を伝えられればと思う。
ちなみに、筆者は自然科学分野の基礎研究を行なっている。デバイスや材料を作成するといった応用寄りなものというより、物性や機能解明を目的とした物質科学系の基礎研究を行なっている。それを踏まえて読んでいただければ、質問内容の意図も理解してもらえるのではないかと思う。
実際の面接内容
育志賞
- 提出書類:履歴書、これまでの研究概要(A4サイズ2ページ)、推薦書(3通)
- 面接内容:これまでの研究概要と今後の抱負
- 時間:発表7分、質疑応答18分
- 面接形式:対面
- 面接官の専門性:理工系
- 結果:不合格
育志賞は学生が応募できる賞で受賞できれば約100万円の賞金がもらえる。書類選考の段階では学会もしくは大学からの推薦が必要。学会推薦では学会で発表賞などを受賞できていると推薦してもらえる可能性が高まる。大学の推薦は「大学名 育志賞」等で検索すれば、どの部局に問い合わせれば良いのかわかる。指導教員等申請者の専門を理解している人物だけではなく、学会もしくは大学からの推薦書も必要になる。詳しく知りたい方はweb検索をしてみて欲しい。
面接に関しては、二週間程度事前にA4サイズ1ページのレジュメ及び面接資料(スライド)を提出する必要があった。発表時間は短く、ほとんどが質疑応答であった。質問内容としては「研究発表の中で、この部分は実際にあなたが出したアイデアですか」、「指導教官から独立してやったと言える部分はどこですか」、「応用とかはどんなものがあるのでしょうか」、「世界中であなたのやり方でしかできない部分はありますか」、「類似研究もいろいろあると思いますが、そのなかであなたの研究の位置付けは」といったものがあり、その他に専門的・自分の研究に対する個別的な質問が数件あった。基本的には、自分がどの部分に主体的に取り組んだのかということを中心に聞かれた印象であった。
専門的な質問に対して的外れな内容を1分くらいだらだらと回答したのち、「いやそうではなくて聞きたいのは、、、」というようなやりとりがあり、おそらくそこが致命傷で不合格になった。今後の抱負の部分についてはほとんどコメントはなかった。
ちなみに、面接会場は日本学術振興会ビルで、学生にはありがたいことに交通費は支給していただいた。
某研究所ポスドク1
- 提出書類:履歴書、これまでの研究概要(A4サイズ1ページ)、研究計画(A4サイズ5ページ)、推薦書(2通)
- 面接内容:研究計画
- 時間:発表9分、質疑応答10分
- 面接形式:対面
- 面接官の専門性:科研費の大区分程度
- 結果:選考辞退
受け入れ研究室を指定することで自由に応募できる某研究所のポスドクポジション。面接官は科研費の大区分でくくられた中区分程度からそれぞれ1名ずつで構成され、研究所内部2人、外部2人の計4人程度の他に、事務員2人が面接会場にいた。
質問内容としては「研究計画の実験のどの部分が難しいのですか」、「その基礎現象を理解したとして、実際にデバイスなどとして応用はできるのでしょうか」、「その研究の将来性はどんなものがありますか」、「若いうちにもっと海外とかいっとかなくていいんですか」ということを聞かれた。あまり専門的な内容は聞かれなかった。
質疑応答もうまく答えられ、ほぼ合格できていたとは思うが、選考結果を待っている間に海外留学先の内定(書類選考で済んだのでここでは触れない)が決まったため、速やかに選考辞退を申し出た。
某研究所ポスドク2
- 提出書類:履歴書、これまでの研究概要(A4サイズ1ページ)、研究計画(A4サイズ5ページ)、推薦書(2通)
- 面接内容:研究計画
- 時間:発表9分、質疑応答9分
- 面接形式:オンライン(Zoom)
- 面接官の専門性:科研費の大区分程度
- 結果:合格
コロナの影響により、はじめてのオンライン面接。事前接続テストなども行なってもらった。発表時間の5-10分前に待機室に入室しておけば、相手側にもそれが伝わるということで、10分前に入室し待機していた。実際は開始予定時刻の2、3分後に開始された。オンライン面接とはいえ、一応上下ともスーツを着ておいた。面接官は、研究所内部2〜3人、外部2人の計5人程度の他に、事務員1〜2人がいた。
質問内容としては「研究計画の実験のどの部分があなたのオリジナルで新しいのですか」、「研究所には装置はあるでしょうが、グループの中で優先的に使わせてくれるのでしょうか」ということの他に、数件専門的なことを聞かれた。質疑応答時間は3、4分超過する程度にいろいろ聞かれたが、特に答えられない部分もなく、無事に合格通知をいただいた。後日、助教相当ポジションに内定をいただいたので辞退。
某研究所助教相当
- 提出書類:履歴書、これまでの研究概要と研究計画(A4サイズ3ページ)
- 面接内容:これまでの研究概要とこれからの研究計画
- 時間:発表20分、質疑応答20分
- 面接形式:オンライン(Zoom)
- 面接官の専門性:科研費の中区分程度
- 結果:合格
助教相当の選考では、ポジション毎に選考委員のようなものを組織し、人事担当の先生の他に、そのポジションに見合った専門性をある程度持ち合わせている者が選考委員になることが多いように思う。筆者の場合、人事担当者1人、グループリーダー1人、専門分野の類似した者2人、外部1人、部局長相当1人であった。事務員も1〜2人いた。
当日は5分前にZoomに入室し待機していたが、開始時間1分後に少しお待ちくださいとチャットで告げられ、その後10分程度待っていた。後日話を聞いたところ、選考委員の一部で回線に不具合があったらしい。オンライン面接は既に経験済みで、開始時間が遅れることもよくあると理解していたので、そこまで緊張したりあせったりしたりせず待機することができた。
質問内容はほとんど専門的なもので、一般的な質問としては「グループのリーダーとあなたの専門性で差別化できる点はなんですか」、「あなたの発表を聞いていて、私としてはこういう課題とかもいいと思ったし、挑戦もして欲しいんですけど、何かアイデアとかありますか」、「専門性は似ているといっても実際は新しい経験も多くあると思うが、抱負などがあれば教えてください」といったことを聞かれた。これからの研究計画の内容についてはほとんどコメントはなかった。強いて言えば専門に拘らずもっと他のこともやってくださいという感じのコメントをいただき、それに対してはそこまで上手く答えられた感触はなかった。しかし、専門的な質問は割と上手く答えられていた感触で、後日無事内定通知をいただいた。
さいごに
これら個別のケースを通して、全体的にポスドクや助教といった比較的若手が応募するポジションの面接に関しては、次のような項目を判断したいという意図を含んだ質問が多いような印象を受けた。
- 応募者の将来性
- 応募者の主体性
- 応募者の強み・オリジナリティ
予算獲得の申請書などでもよく聞かれる内容で、普段からこういったことを考えながら研究していれば、割と答えられないこともないように思う。面接テクニック的な記事を書いておいてなんだが、やはり普段から真摯に研究に取り組むことが最も効果的な面接対策になると思う。